■1回戦目 東1局3巡目、村上プロの手牌はこんな具合になりました。 ドラ ここで村上プロの打牌は。 このとき、ドラの切りはまだ早いとすれば、という三つのカンチャンから、どれかひとつを外すことになります。そこで村上プロはを選んだというわけです。これは気分で決めているのではなく、同じ手牌が100回来たら、100回ともを切ることでしょう。それは、こういったメカニックな理由によるのです。 まずは、リャンメンに変わる牌が、と2種類あるため、もっとも有望です。そこでとの比較になりますが、とではの方が他人の手牌からあふれやすいため、こちらを狙った方がアガりやすくなるのです。 3と7の牌はキー牌と言われ、その外側である1289への出口となっています。その結果として、3・7牌の内側はメンツを構成する上で使い勝手がよく、すなわち危険度が高くなります。ということは、手作りするためには34567の牌が重要ですが、最終的な待ちとしては、外側である1289の牌がアガりやすいのです。 ですから、カンチャンを選択するときには、やよりもやを残した方がいいわけです。こういった地道な発想を積み重ねていくことが、デジタル戦術と言えるでしょう。 ドラ この局、村上プロはこの手牌から、7巡目にをチー。すぐにをツモって、1000点をアガりました。まずは快調なスタートです。 東2局、親を迎えた村上プロにこんな配牌が入りました。 同じ色の牌が8枚あったらチンイツを意識しろと言いますが、ゾロッと10枚のピンズが入っています。ここにを引いたところで、5巡目、上家の☆ジャン氏がを切りました。村上プロの手牌はこうなっています。 村上プロはこのをカンチャンでチーしようとしました。あと2枚引けば九蓮宝燈のテンパイだというのに、ずいぶん夢のない打ち方です。しかし村上プロは、夢や品格は自分の麻雀に不要だと考えているのですね。勝ってこそプロであると考えるなら、確かにその通りです。 けれども、ここが彼の強運なところですが、のチーには何通りかの鳴き方があるために、チーする牌の指定に手間取って、結局、このをチーできなかったのです(マウスにさわるのは、大学2年の授業以来とのことでした)。 すると、すぐにと引いて、7巡目にペン待ちで、テンパイしたではありませんか。 さらに9巡目にを引き、の3メンチャンに変わりました。なら一通がついて文句なしのバイマン。でもイーペーコーがつくため、ツモればバイマンとなります。 このとき、捨牌はこうなっていました。 このまましっかりとダマテンで、ペンタマン氏の切ったで「ロン」。親のハネマンですから、1万8000点です。 まるで麻雀漫画のようなアガリ手です。9巡目のこんなダマテンに振り込んでしまうとは、ペンタマン氏はお気の毒としか言いようがありません。 これでダントツとなった村上プロを、次局、デジタル打法の真価を問う「何切る!?」の難問が襲います(図1)。
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