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■アンチギャンブル打法・激辛麻雀とは!? |
1回戦東1局、テンパイ一番乗りは須田プロでした。10巡目、高目でタンピン三色という好牌姿となっています。 |
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じっとダマテンで高目を待つ須田プロ。けれどもアガリ牌が出ないまま、15巡目になって親の濱※おめクラ※氏がリーチをかけてきました。こうなると多くの人はこちらもリーチに踏み切るのではないでしょうか。最終形ならリーチ、そしてオリる気がないならリーチ、これは実戦のコツだと考えられています。 しかし須田プロはダマテンを続けます。そう、どうしてもリーチが必要な局面でないかぎり、極力リーチを避けるのが須田プロのフォームなのです。もちろん3メンチャンであったり、カンが入っていたり、あるいは持ち点が少なかったりして、リーチが有利だったり必要と思われる状況ならリーチに踏み切ります。けれども、先行リーチが入って自分はオリる気がないというくらいでは、リーチしない方がいいと考えているのです。 須田プロの考え方はどちらかというと昔風で、いまの麻雀はリーチ全盛となっています。ピンフ系の手牌では、ダマテンで出アガリに期待するよりも、ツモアガリするつもりでリーチをかけて、一発や裏ドラの可能性を加えるのが現代風の発想です。リーチ主義者はリーチ回数がトータル裏ドラ枚数を決めると考えるわけですね。 いうなれば、リーチとは麻雀で一回だけ許されるダブルアップです。テンパイ宣言する代わりに得点がダブルになり、うまくいけば一発や裏ドラというオプションもつくわけです。しかし須田プロは、そういった不確かなギャンブルをするよりも、確実な得を積み上げて勝とうとするスタイルでした。 将棋のトッププロに「激辛3兄弟」と呼ばれる人たちがいます。「辛い」とは確実な得を積み上げていこうとする姿勢のことで、激辛となればそれがさらに徹底しているわけです。この日、須田プロの麻雀を見ていて、ぼくの頭には激辛麻雀というフレーズが浮かんでいたのでした。 この局は須田プロがダマテンのまま安目のをツモって、700点・1300点となりました。まずは小さなプラスを積み上げます。 東2局1本場、風に吹かれて♪氏が親でリーチをかけてきました。その捨牌がこうなっており、普通の手牌ではないことを感じさせます。 |
本命はチートイツですが、メンツ手もありえます。ドラのが見えてないので、うかつな牌は切りにくいところです。かけられる側からすれば、困り者のリーチといえるでしょう。このときの3人の対応は、1回戦の麻雀を象徴していました。3人とも危険牌を切ることなく、安全な牌をていねいに選びながら可能な範囲でアガリに向かっていきます。 じつはリーチをかけられる前から、濱※おめクラ※氏もチートイツドラ2枚でテンパイしていました。勝負手です。 |
ドラ |
しかし親リーチのせいでチートイツが警戒される場となってしまい、これといったタンキの牌を選ぶことができません。終盤になって、彼は親リーチにリャンメン待ちがあるならこれしかないというを引き、やむなくフリテンのタンキに構えます。その次に今度はを引き、ここで無理せずにオリました。 じつにメリハリのある打ち回しだと思いますが、これこそ激辛麻雀がめざすスタイルです。リーチをかけられたからこっちもリーチというのは、工夫を放棄して楽になろうとする麻雀なのですね。 この局は流局。開けられた風に吹かれて♪氏の手牌は、濱※おめクラ※氏の手牌と双子ともいえるチートイツドラ2枚でした。双子対決は引き分けです。 |
ドラ |
この日は須田プロだけでなく他の3人も慎重な麻雀を打ったため、1回戦は辛めでハイレベルな麻雀になりました。1回戦全11局のうち、半分近い5局が流局していることが、そのことを証明しています。 東4局。親の須田プロは7巡目にピンフのみでテンパイします。 |
ドラ |
親のリーチピンフは十分な勝負手です。ツモって1300点オールなら他の3人とは5200点の差がつきますし、裏ドラが1枚乗れば2600オールで1万400点もの差がつくのです。 しかしそう思ってしまうのはギャンブル的な発想で、須田プロは「ツモったなら」とか「裏ドラが1枚乗ったなら」という不確実な投資はしない流儀です。ここは当然のダマテンに構えます。 こうして、須田プロと濱※おめクラ※氏が3万点を少し超えて、半荘を折り返します。上位者と下位者に2名ずつ分かれたため、後半戦の図式ができ上がりました。上位者はこれまでと同じようにカタイ麻雀を打ち、下位者はやや無理な状況でも勝負に行くことになるわけです。その一方で、上位者同士でもトップ争いを繰り広げていきます。 |
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