対局が終了してから、飯田プロは「あのだな」と振り返っていました。飯田プロ本人も、の見送りが敗因だと感じていたわけですね。 しかし、何が勝因で何が敗因なのか、結果論として振り返ることはできても、技術論として語り尽くせるものではありません。 このとき、飯田プロがをチーしたらどうなっていたのか、確かなことはわかりません。メロンソーダ氏がツモしたは受けの6枚目なので、あと2枚しか残っていなかった。そう指摘できるくらいです。 麻雀とは、高い手牌を育てることではなく、誰が最初にアガる一人になるか、その競争で争われるものです。そうなると、手牌を理想形まで伸ばしたうえで決着がつくことは少なくなります。手役や待ちの形が不十分でも、どこかで見切り発車しないとまにあいません。 役作りや好形を作ることは技術の領域ですが、勝ち負けに直結するのは「見切り」です。そこに麻雀の難しさがあり、またゲームでありながら勝負事の側面が大きくなる要因となっています。 手牌の伸びをどこで見切るのか。どこで押し、どこで引くのか。この問題に技術では対処しきれないため、打ち手たちは流れを考え、運命論的な大局観を導入するのですね。 この局にメロンソーダ氏が4000オールをツモアガリしたことで、氏の持ち点は7万8000点となり、優勝が決まったと言えるでしょう。 第12回VIPサロンは、メロンソーダ氏の優勝。氏は第2代朱雀王に輝いたのです。飯田プロは3位に終わりました。 マウスに不慣れで、最初はそれが敗因になるかと思われた飯田プロですが、やはり勝敗は「麻雀」で決まりました。 あえてまとめるなら、乱打戦になっている状態でデリケートなテクニックに走ったことが敗因となるのでしょうか。 「まだやり足りないなあ」 終了後、飯田プロはそうもらしました。これぞ敗北の味というやつですね。
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