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■親番の前と後

 次局東1局3本場には、東風の虎氏が高そうなリーチをかけてきました。そんな状況下で、岸本プロはをポンしてのみのツモアガリ。リーチ棒と積み場を合わせて3500点の収入です。こういった収入が増えるのはまっすぐ打法のプラス面でしょう。

 そして東2局には、クイタンの1000点で早々とロンアガリ。岸本プロはスピード優先で場を進め、サクサクと局を流してゆきます。安く場を進めながら、おそらくチャンス手が入るのを待っているのでしょう。次局東3局には、かもめのどらさん氏が早々と1000点でロンアガリ。場は快調に進みます。

 東4局、岸本プロの親番です。ここで一発アガることを想定して早回しを続けてきたのでした。そんな展開作りにピッタリの打ち筋を、岸本プロはここで見せたのです。

 ツモ ドラ

 7巡目、こんな手牌からタンヤオに向かう切り。棒テン即リーを考えるなら安全牌のを切っておくべきですが、ドラそばのをチーすることまで考えたらのアタマは不要になります。スピードアップと得点アップを兼ね備えた切りは、まさにこの一手でしょう。

 唯一のデメリットはをツモったときにアタマがなくなってしまうことですが、その心配からひとまずを切っておくよりも、いきなりのトイツを落としてしまう方が手筋として上だと思います。雀力とはすなわち見切りの早さです。何巡先のことまで見通しているか、その判断の早さこそ、その人の雀力を正確に反映しているのではないでしょうか。

 さて岸本プロの手牌ですが、2巡後にはこんなチャンス手に変貌していました。

 ドラ

 次巡をツモって切り。いつもの入った麻雀を打っている人はをツモ切りしてしまいそうですが、ここでは678三色の可能性を見て切りが正解でしょう。期待がさらに高まってきました。

 しかしここでかもめのどらさん氏がリーチ。同巡に東風の虎氏がクイタンに走り、すぐかもめのどらさんからロンする結末となりました。電光石火の終局となって、岸本プロ、親番は不発です。

 ここで岸本プロはギアチェンジしました。手作りをスピード優先から打点優先に変えたのです。次局南1局、5巡目にドラのをツモったところで、アタマのを切り出して2シャンテンに戻します。十分形の1シャンテンから、得点を優先して手を遅く構えたのです。

 ツモ ドラ

 しかしこの局は、へいちゃん氏のダマテンに2600点の振り込みで終了。このときリーチされていても一発で振り込んでいたはずですから、東1局1本場と同じように相手のダマテンに助けられているのです。

 次局南2局、岸本プロはこんな手格好から8巡目にのポンテンを取りませんでした。

 ドラ

 残り局数が少なくなったので、メンゼンでテンパイしてリーチをかけたいのですね。さらに次巡に切られたも黙って見送ります。けれどもそのまた翌巡に切られたはさすがにもう見送りませんでした。これはポンしてテンパイ取りです。

 ポン ドラ

 これでは点数が不十分ですから、ここにが出てきたらきっと大明カンしたことでしょう(岸本プロの大明カンといえば知り合いの間では有名です)。しかし手牌は別な方向に進み、ここに出てきたをポンして結局トイトイになったのでした。

 ポン ポン ドラ

 これが実れば……と思うところですが、ここでも東風の虎氏が1300点をアガってこの局も終了。岸本プロ、またも空振りです。

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